7月31日 ワンマンライブ LIVEレポ公開!
DOBERMAN。
心斎橋JANUSでのワンマンライブ。
約500日ぶりのワンマンライブという事もあり、
会場は開演前から大賑わい。
だが、御時世が御時世という事もあり、
開演前にはJANUSから、
そしてイベンターの清水音泉から、
それぞれ諸注意が説明される。
ボーカルの吉田田タカシ、
ギターのユースケ、平井拓也、
ベースの岸川嘉史、鍵盤の原賢二、
トランペットのGoe、シーサー、
トロンボーンのSweというメンバー8人が
ドラムのポンセ小山の方を向き、
小山のリズミカルなビートで
「leap for joy」でスタート。
Goeが士気と団結を高める様に吠えて、
吉田田の
「レディース&ジェントルメンようこそ皆さん!」
と前口上の様なリリックが始まりの高揚感を煽る。
そのままホーン隊によるつんざきから
鍵盤の音色が印象的な「パブロピカソ」へ。
これ当たり前の様に曲を追い、
文章的には3曲目「諸行無常に弧を描いて」へ向かおうとしているが、
一気に盛り上げていく爆発力は本当に凄かった。
このスタートダッシュ感は、
屋内であろうと野外であろうと、
対バンであろうと、
フェスであろうと、
どこででも持っていけると想う。
平井のアコギと原のアコーディオンが
穏やかで素敵な「beautiful」も経て、
こちらとしては緩急の具合も最高に決まったと勝手に手応えを感じていた。
しかし、吉田田がMCで観客から
歓声などのレスポンスが無い事に対して、
「何やこれ!?」と違和感を露わにする。
慌てて、観客が拍手で応えるも
「恥ずかしいから! 別に上手い事も言ってないし!」と返答。
こちらとしては、
とてつもない程の最高の音楽をぶちかましてくれていると大満足していたが、
演者からすると歓声というわかりやすいレスポンスが無いと
如何にやりにくいかという事も改めて理解が出来た。
しかし、すぐさま「音楽やろか!」と
気を取り直して何事も無かったかの様に音を鳴り続けていく様は流石だった。
特筆すべきは7曲目で初披露された未発表新曲 「タコヤキ」
シーサーも気持ち良さそうに
リズムを取っていたが、
例えば植木等「スーダラ節」の様な
昭和の国民的ヒットソングな大衆的なメロディーが素晴らしかった。
もちろんスカ要素はあるのだが、
今までのDOBERMANには無かったタイプの落ち着きある広がりがある楽曲は
勝手にお茶の間に届きそうなワクワクがある。
何よりもタイトルが良い。
誰もが知ってる
浪花の匂いぷんぷんな言葉だが、
しっかり歌を聴くと、
それだけではおさまらない深みがある。
新しいDOBERMANの武器が増えた気がして、
本当に嬉しかった。
「出会いと別れを繰り返しゆくのさ」
という歌詞が心に残る「ありきたりの言葉」の後、
吉田田は飼っていたペットとの
別れなどを話し、
途中、原の歯の抜け具合という照れ隠しによる
脱線話がありつつも、
ポエトリーリーディングな「アラブ」を挟み、
「それぞれのパレード」へ
性急なビートに
「静寂を噛み締め歩け!歩け!それぞれのパレード」
という言葉が乗っかるところで、
グッときた人は私だけでは無かったはずだ。
また、ザクザクっとした
ユースケのギターが心地好い青春讃歌
「まるで青春みたいだった」 を演奏した後の
吉田田の言葉が何とも言えず良かった。
「ベイサイドジェニーでやってた頃は全員殺してやろと想ってた!」
今は無き大阪港のライブハウスで暴れていた頃のギラツキ尖がりを持ったまま、
彼らは円熟味を増している。
だからこそ、
余計に「ホットレモネード」の
「まだオレはやれるかな」、
「まだ夢を見れるかな」
という歌詞が沁みた。
23年に渡って、
DOBERMANがタフに
サバイブし続けてきた事が何よりも頼もしい。
木梨憲武への提供楽曲であり、
本編ラスト前の緩やかなスカナンバー
「ホネまでヨロシク」も誠に素敵であったし、
このラブソング同様にDOBERMANと
我々の関係はホネになるまで変わらないと再認識が出来た夜だった。
ラストナンバー
「朱い太陽」
の厳かなイントロが聴こえてくると、
観客は歓声を上げられないにも関わらず、
「Say Hello!素晴らしき平和の朱い太陽」
と吉田田が歌い出すと、
観客全員が片手だけでは無く両手を掲げて、手の平を天井へと向けている。
中盤、吉田田が
「音楽にはパワーがある」
と呪文の様に呟き続けた。
確かに音楽は緊急事態には
不要不急かも知れない。
でも、緊急事態で弱っている時にこそ、
音楽はパワーを与えてくれる。
ラストにふさわしいナンバーだった。
アンコールでは、
11月20日に服部緑地野外音楽堂で
吉田田は
「その時はマスクが取れて、大騒ぎが出来たら良いのにな!」
と期待を込めて話しつつも、
すぐに
「気を引き締めて!」と付け加えるのが、
全く浮足立っていなくて、
とてもかっこよかった。
アンコールラストは、
今一番やりたいけどやる事が出来ない
お酒を吞む事を明るく楽しく歌う「マシジャ」。
だが、
そこから再度「諸行無常に弧を描いて」に繋がるという
〆は本当に粋でしか無かった。
約500日ぶりの祝祭は想っていた以上に
地に足がついたものだったし、
もう少しの我慢辛抱をという
DOBERMANの大人な心情も観客に届いていると信じたい。
次のワンマンが約500日ぶりにならない事、
そして、その時は、
もう少し自由に踊って楽しめる事も信じておきたい。
取材・文/鈴木淳史
カメラマン/大久保ケージ
カメラマン/ジャッキー
2021年09月02日