11月20日 DOG FIGHT SPECIAL LIVEレポ公開!

DOBERMAN。

今年夏の心斎橋JANUSでのワンマンライブを

約500日ぶりのワンマンライブとライブレポートに記したが、

DOBERMANの対バンイベント「DOGFIGHT」が

2019年10月以来となる約750日ぶりに開催された。

場所は服部緑地野外音楽堂。

 

対バン相手は約25年来の付き合いで、

DOBERMANメンバーの約75%が出身である

大阪芸術大学の先輩に当たる赤犬。

 

簡単に言うと、アラフォーというか、

もはやアラフィフな細かく言うと違うが大きく言うと

大阪のオッサン計22人の戦というか集いというか!

予測がつくようで、予測がつかない。

 

赤犬メンバー10人による演奏陣が

ファンファーレの様に楽器を鳴らして、

ナイトサパーズと呼ばれるロビンとテッペイが登場するが、

ヒデオの姿が見当たらない。「あれ?!」と想いつつも、

 

 

ロビンが

「それでは歌って頂きましょう! 中条きよしで『嘘』!」

と紹介。

でも、登場するのはボーカルのタカ・タカアキだし、

登場BGMはジャイアント馬場の入場テーマ曲『王者の魂』! 

また「あれ?!」と想うが、

私レベルでもかなりの数のライブを観ているし、

大体の流れはわかるはずなのに、

それでも、まだ毎回新たな「あれ?!」と感じさせるのが赤犬…。

なんて勝手に考えすぎている間に

1曲目「酔わせてよKOBE」が始まり、

曲終わりは何故かタカとロビンとテッペイによるトークショー。

 

 

普段は司令塔であるヒデオの不在についても触れられるが、

カラオケ教室とか、

それこそ口から出まかせ嘘しか出てこなし、

NAMIMONOGATARIとかSDGsとか土屋昌巳とか、

ライブとは関係の無いどうでもいい単語ばかりがポンポンと出てくる。

 

 

それでも観客は御時世的に笑い声を必死に抑えながらも、

爆笑しているのが、体の揺れから伝わってきた。

 

「おしゃべりだけで60分いきたい! 

とっとと曲を終わらせてしゃべりましょうよ!」

みたいな事ばかりを相変わらず言い続けるが、

「タカアキのズンドコ節」など歌と演奏が始まると

昭和歌謡ショーを観ている様で虜になる。

で、また、おしゃべりが始まる。

 

まとめると、昭和歌謡バンドの歌とトークのショーを

観ているわけだが、それでも毎回飽きる事無く

楽しませてくれるのは、本当に楽しい。

 

 

告知の話題でも「プラモデルが楽しい!」という小学生的発言しか出てこず、

横山やすしと桂文珍の話題から「八尾エアポート」へ。アリオ八尾、南河内出身…、

先程からお気付きの方もおられると想うが、

出てきた単語を書くだけでライブレポートが完成してしまうし、

出てきた単語を読むだけでも楽しさは嫌でも伝わるはずだ。

 

さて、問題はここから。赤犬ライブの醍醐味と言えば、

「デラノーチェ北浜」でナイトサパーズ3人が客席に降りて、

ランダムに観客を選んでチークダンスを踊る事。

しかし、それこそ、この御時世、密は大NGであり、

私ライター鈴木淳史の前説でも

 

「赤犬の皆様、コロナが終息するまでは、

客席へ降りないで下さい!」

 

とお願いしたばかり。

 

本人たちは呑気に「翼の折れたエンジェル」の話をして、

そこから発展して鈴木みのる話をしていたが、

かなりの死活問題ではある。

 

いざ始まるとロビンとテッペイは

大きなペットボトル型スプレーに入った消毒液をかけあって、体温を測り、

ステージ端にいたスタッフを捕まえて

チークダンスを踊っている。気が付きゃ、

DOBERMANメンバーとも自分とこのメンバーともチークダンス。

で、必死にステージから降りようとしても降りられない

パントマイムまでしている始末。

心配してあげた私が馬鹿だった…。

 

 

「ちょっとの工夫で、この上手さ!」と

自画自賛の素晴らしい乗り切りの後は、

タカの御着替えタイム。

先程聴いたばかりの「酔わせてよKOBE」を演奏して、

観客に歌ってもらえないので、

スタッフに歌ってもらい、

御礼粗品でフジパン本仕込を渡している。

 

 

これだけで充分なのに、やはり観客に歌わせたいらしく、

謎のテレパシーで歌わせている。

本当に転んでも、ただでは起きない。

てか、転んだ事にも気付いていないのが、彼らの凄さ。

ブライアン・セッツアーばりのお色直し姿で

タカが再登場すると、

むせび泣く男のブルース「リボルバー」から

「アンドロメダ大将軍」が披露される。

 

 

ラストナンバーは再び再び「酔わせてよKOBE」。

全員がはけて、大団円かと思いきや、

タカがサックスを持って、ひとりで現れる。

サックスの腕前を観れるのかと一応は期待するも、

見事に期待を裏切り、口でメロディーを奏でて、

再び再び再び「酔わせてよKOBE」をアカペラ独唱。

 

 

 

そんな後ろではメンバーが撤収作業。本当にお見事でした。

普段コロナに打ち勝つといった根拠無き表現は大嫌いだが、

もしかしたら、赤犬はコロナに打ち勝ったのかも知れないと

錯覚させてくれた素晴らしきトップバッタータイム。

 

 

すっかり日も暮れて、ムーディーなSEが鳴り、

ステージも少し照明を落とした中、DOBERMANが登場。

先程の赤犬から場面転換された事がしっかりと伝わってくる。

 

 

ポンセ小山のドラムが鳴り、「leap for joy」でスタート。

トランペットのシーサーの始まりの合図の様な名乗りから、

ボーカルの吉田田タカシの

「レディース&ジェントルメンようこそ皆さん!」

 

 

と小気味よい前口上の様なリリックが炸裂する。

そのまま「パブロピカソ」へと進むのは、

夏のワンマンライブと同じく素敵な

ロケットスタートなのだが、

まさかの途中で演奏が止まってしまうハプニングが! 

約23年やっていて、こんな事は初の様で、

吉田田は「コロナ怖っ! 夢で見たわ!」と

慌てふためいていたが、野外という雰囲気がそうさせるのか、

観客は、そんなハプニングすら楽しんでいる。

続く「諸行無常に弧を描いて」では、

気が付くと観客全員が立ち上がって踊っていて、

既に先程のハプニングを

全員忘れているのではとすら想ってしまう。

 

 

吉田田はMCで、やはりライブは無観客では無く、

観客がいないと違うと話して、

まだコロナ禍は終息していないので実際には乾杯できないが、

乾杯したいくらい特別な日だと話す。

赤犬とDOBERMANの対バンに来る観客は、

かなりの嗅覚のセンスとも話していたが、

それには私も激しく同意である。

 

 

 

そんなMCの後の未発表新曲「タコヤキ」は、

吉田田が「今日みたいな日が来たら良いなと想って作った」

と明かしていたが、誠に温かいナンバーであった。

夏のワンマンで聴いた人もいたであろうし、

初めて聴いた人もいたであろうが、

そんなの関係なく緩やかながらも

一瞬で大衆に届く不思議なパワーがあるナンバー。

 

 

そういや、本番前に吉田田と楽屋裏で会った時に

夏のワンマン話になり、観客からの歓声が無い中、

手拍子で一生懸命気持ちを伝えてもらえて、

その上、いつも以上に目線で想いを伝えようと

してくれていたのが物凄く印象的だったと熱弁していた。

 

また、そんな事は今までもちろん無かった為、

喜びもありつつ戸惑いもあった事も話していたが、

それをそのまま観客にもMCで伝えていたのには驚いた。

 

 

この観客との心の近さ、そして観客への誠実な距離感。

キャリア20年以上あっても、

そういう気持ちはを忘れない事は素敵だ。

スカは楽しい、スカバンドは楽しい、DOBERMANは楽しいが、

ただ楽しいだけじゃなくて、

こういった細やかな心配りがDOBERMANにはある。

それは熱き想いでもある。

そんならしさが顕著に表れたナンバーが「メメントモリ」。

 

吉田田が東日本大震災のボランティアで東北に訪れた際、

寝袋で泣きながら書いたナンバー。

本人いわく命の歌であるが、

久しぶりにライブで聴く「メメントモリ」は

魂の叫びでしか無かった…。

 

 

 

さて、この日一番の大事件であり、

既にSNSなどで知っている人も多いかもしれないが、

ハッピーすぎる大事件が11曲目「ホネまでヨロシク」で起きた。

とんねるず木梨憲武akaノリさんへの

提供楽曲であるナンバーだが、

音が鳴らされた瞬間、ステージ袖から謎の大きな

 

「ピース!!」

 

 

と声が! 何とノリさん御本人がビックリサプライス大登場…。

 

本日二度目の演奏が止まるハプニングに!

 

 

 

来たで!!

 

 

と陽気にノリさんは言いつつも、

自身の東京でのレコーディングに

DOBERMAN大所帯メンバーが1台の車で来て、

すぐさま帰って行った事に改めて感謝して、

その御礼としてライブに来たかったと伝える。

ノリさんは何かあったら「ピース!!」と無邪気に叫んでいるが、今更言うのも何だが、

もう、その圧倒的な大スター感は凄すぎた…。

メンバー世代からしたら小学生時代からの

ブラウン管の大スターである。

 

 

メンバーは何度もレコーディングなどで会っているとはいえ、

自分たちのライブへ、それも東京から大阪に完璧なる

シークレットドッキリで来てくれた事は感無量だったであろう。

 

 

泣くメンバー、膝から崩れ落ちるメンバー、

フリーズするメンバー、笑うしかないメンバー。

観客も同じ想いで、わざわざ大阪くんだりまで、

東京の大スターが感謝を伝えに来てくれた

粋な姿がたまらなく嬉しかった。

 

 

ノリさんほぼ袖にはけながらも

決めのラストジャンプをしっかり見せて、

楽曲が終わったところで吉田田がひとこと

「みんなラッキーすぎたね!」。

本当に、そのひとことに尽きた。

 

 

ラストナンバー「朱い太陽」、

アンコールナンバー「マシジャ」でも、

ノリさんの余韻は誰も全く冷めていなかったが、

とんでもない宴を目撃が出来たという

共通認識も全ての人は持っていた。

 

 

 

再アンコールではカーテンコールの様に

DOBERMAN赤犬22人全員が登場して、横一列に並び、

手を繋ぎ夜空に向かって高く上げる。

楽屋裏ではおもしろオジさんな彼らだが、

宴を成し遂げたとてつもない自信を感じさせたし、

もはや、おもしろではなく、ただただかっこよかった。

まさしく大人の楽園を体感できた気分…。

 

 

そして、大人の楽園の集大成ともいえる

2年に一度の大祭り「MOONSTRUCK JAMBOREE」の来年7月開催も

最後に発表された。

 

まだまだ予断を許さない状況ではあるものの、

夏にはいいことあるだろう! 

決して気を緩める事は無いが、

そう信じている。とにかく夏には、

もう少し自由に楽しく踊って、可能であれば、

念願の乾杯も出来る事を祈っておきたい。

 

 

取材・文/鈴木淳史

カメラマン/大久保ケージ

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2021年12月23日